パネリストの人数

パネリストの人数は何人が良いのか

今回はパネリストに関する内容です。パネリスト、特に官能評価では分析型パネリスト(評価者)の人数設定については多くの方が悩まれております。

そして次のような質問を頂きます。

「●●人で官能評価をやったのですが、大丈夫でしょうか?」
「最低何人いれば良いですか?」
「手法毎の必要人数を教えて下さい。」

そのような質問に対してパネリストの人数を求める方法をご紹介します。

 

パネリストの人数を求める3つの方法

ここでは3つの方法をご紹介します。

①パネリストの必要数を統計的手法に基づき算出する
②経験に基づいて設定する
③JIS・ISO規格などを参照する

①パネリストの必要数を統計的手法に基づき算出する

1つ目はα、βリスクなどから必要数を算出する方法です。
本来、パネリストの人数は実験目的(「既存品よりも新製品の方が苦くない」などの帰無仮説の設定方法、サンプルの差の大小など)によって設定されます。
データ数を設定する場合、統計的配慮として気を付けなければいけないのがαリスクとβリスクです。これは検定結果の誤りであるTYPEⅠerror(第1種の過誤)、TYPEⅡerror(第2種の過誤)の確率ともいえます。
このαとβのバランスが取れるデータ数(これは自分で決めなければならない)が、その実験で必要なデータ数、つまりパネリストの人数です。

②経験に基づいて設定する

2つ目は、経験的にどのくらいの人数がいれば統計的に差が出るかを設定する方法です。
しかし、前回差が出なかったから今回は人数を増やすような、出たとこ勝負になります。また、差を出すために人数を増やすことにつながり、統計的検定の思想とは異なります。

③JIS・ISO規格などを参照する

3つ目はJISやISOなどの規格に記載されている推奨値を参考にする方法です。

上記3つのうち、本来は①をすべきでしょうが、算出するには統計知識が必要です。
そこでお勧めするのは③です。

日本規格のJISでは、「JISz9080官能評価分析-方法」に推奨人数が記載されています。

テイストテクノロジー社資料パネル分類と人数(pdfファイル)

 

ソフトウェアでパネリスト人数を求める方法(JMP、FIZZ)

ここで統計ソフトウェア「JMP」をお持ちの方は便利な機能があります。
JMPのメニューから、
実験計画(DOE)>標本サイズ/検出力
をクリックすると必要な標本サイズ(データ数)が計算できます。

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【追記】

官能評価ソフトウェア「FIZZ」やでもパネリスト人数や特定のパネル人数の時の検出力を求めることができます。

①設定した検出力に必要な人数を計算する。

②設定したパネリスト数による検出力の計算

 

ここでは識別法のパネリスト数の計算をご紹介します。

FIZZ-Calclationsのメニューから下記をクリックする。

Menu>statistics>determine number of judges/Power(discrimination test)

設定ダイアログが表示されるので手法、αリスク、検出力(1-β)等を設定し、実行するとグラフとともに結果が表示されます。

【追記ここまで】

 

最後になりますが、本来パネリストの人数は実験目的によって設定されるものです。

また、嗜好型のパネリストの人数については言及しませんでした。基本的には、ターゲットとなる母集団を設定し、その母集団を代表する標本に調査を実施し、母集団を推定するという流れになります。これはマーケティングの分野で研究されています。標本の選び方(サンプリング方法)についても様々な手法がありますし、目的によっても異なります。

「売行き予測」のトレンドマーカー

これに付随して、私の研究分野の一つに「売行き予測」があります。売上の予測を精度よくあてられる人々を集めて、新商品の売行き予測をしてもらうものです。弊社ではこのような予測者を「トレンドマーカー」と呼んでおります。
類似の研究は国内でもされていて、アサヒビールの高感度消費者研究の一環として本や論文に「目利き」として紹介されています。

  

弊社の当面の研究課題は、いかに少ない人数で予測精度を上げていくか。また、市場のトレンドが変化した場合のトレンドマーカー(予測者)の適応性・ロバスト性を見極めたいと思っております。興味がある方はお問い合わせください。

今回はパネリストの人数を決める方法を紹介しました。

ではまた!

admin について

旧ブログ「官能評価なるもの」は平沼孝太が執筆しておりましたが、現在の「官能評価なるもん」は弊社社員が編集しております。
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