しゃーない社外(汗)

◆◇◆◇◆◇◆官能評価TT通信No.31◆◇◆◇◆◇◆

さて、今回のテーマは社外パネルです。

前回は社内パネルでしたが、今回は外部のパネル、つまり社外パネルのメリット・デメリットと、外注する際のポイントをご紹介します。

まず、社外パネルのメリット・デメリットについてです。
くどいですがパネルについて確認しておきましょう。パネルの種類は大きく2つに分類されます。

1.分析型パネル(専門パネル、?型パネル)
2.嗜好型パネル(一般パネル、?型パネル)
※QDAパネルを含めて3つに分類することがありますが、ここでは従来の分類に基づいて解説いたします。

社外パネルで利用頻度が高いのが、やはり2つ目の嗜好型パネルです。

理由は2つです。
1つはサンプリングに適していることです。
社外パネルを使うときに嗜好型パネルこそがメリットを最も享受できる使い方です。嗜好型の官能評価は、標本調査の理論(サンプリング)の考え方に基づいて パネルを選びます。そして前回も指摘しましたが、社内の限られた人数の中で適正なサンプリングをしようとしても偏りが出てしまいます。また、バイアスがか かることも前回指摘したとおりです。多くの調査会社では自社モニターなどのほかコミュニティ運営会社やネット系企業と提携して非常に多くの名簿を持ってい ます。

もう1つは分析型パネルを提供している企業が少ないことです。
実際のところ、分析型パネルを社外に求めてもトレーニングされたパネルを提供している企業はそう多くありません。もちろん調査会社に依頼すればほとんどの企業で評価員を揃えてくれます。しかしながら、それを分析型パネルというかどうかは企業ごとの判断によります。

社外パネルのメリットは「(嗜好評価における)適切なサンプリング」です。

一方、社外パネルのデメリットは「高い費用」です。
調査会社に依頼する場合、結構な費用がかかります。社内なら無料(実際は見えないコストとして発生しているのですが・・・)で実施できます。
料金は各社まちまちです。
品質が高ければそれだけ料金も高いのですが、見えない部分だけについ値段で選んでしまいます。

そこで、社外パネルを外注する際のポイントを挙げます。

1.目的をはっきりさせる
2.パネルの質を確認
3.採用・管理コストを聞く

第一のポイントは目的の明確化です。これは社内パネルのときも挙げていましたが、本当に大切です。社内パネルで済むことを社外 に出すのはお金のムダですし、分析型パネルの育成や官能評価のノウハウ蓄積が遅れます。やりたいことが好き嫌いを中心とした嗜好型の官能評価なのか、味の 違いや風味の特徴を明らかにする分析型の官能評価なのかをはっきりさせることで何をすべきなのかが明確になります。なぜ社外でやるのか、社外でなければで きないのかを検討することが大切です。

第二のポイントはパネルの質です。外注先には登録者の属性とパネル(モニター)の品質管理方法を確認してから発注しましょう。 ついでに分析型パネルを提供しているならば、どのような選抜・訓練・管理をしているのかを聞くのも良いでしょう。裏話的な話をすると、多くのリサーチサイ トには謝礼目的で多重登録している方や、サンプリングの抽出対象となりやすい属性を登録している方もいます。各企業では何重にもチェックをして登録者の品 質管理に苦心しています。一方で多重登録は誤差の範囲とばかりに登録人数の多さを売りにしている企業もあります。

これを避けるには発注側が鑑識眼を高めるほかありません。

もっともわかりやすいチェック方法は自分で登録してみることです。
登録情報やチェック方法などがわかればモニターの質もおおよそ見当がつきます。

特にホームユーステスト(Home Use Test: HUT)では直接顔を見ることがないのでこれらのチェックが出来ません。男性が女性として登録して送られてきた化粧品の評価をしていることだってあり得る のです。(その方の意見が適切かどうかは別問題です。正しくサンプリングできていないことが問題なのです)

分析型パネルならば識別能力や再現性などもチェックしたいところですが、能力チェックだけで料金が発生することがありますのでおいそれと確認するわけにも行きません。現実的にはどのようなパネルの品質管理をしているかを聞くのが精一杯でしょう。

最後は料金面の話です。一般にパネルの品質がよければ料金も高くなります。第二のポイントでパネルの質を確認したら、見積もり を取ってください。一人あたりの料金で評価したくなりますが、ここはぐっと我慢して業者が一人あたりの採用・管理コストをいくら使っているか聞いてみてく ださい(もしくは採用方法を聞いて、そこから推測してください)。
そこからパネルの価値を見出します。

パネルの価値 = 一人あたり料金 ÷ 一人あたりの採用・管理コスト

このパネルの価値を比較する場合、調査会社のモニター規模を同程度のところで比較してください。(万人レベル同士、10万人レベル同士、100万人レベル同士など)
同じ規模だとすると、採用・管理の仕組みも大体同じです。あとは見えないところに金をかけているかどうかだけです。
自社で集められる場合は、上記のパネルの価値を自社の場合(常に1倍)と社外の場合で比較すれば意思決定の参考になります。

今回は社外パネルのメリット・デメリット、および外注する際の3つのポイントをご紹介しました。

最後に、弊社の分析型パネルについてのご紹介です。

弊社のパネルは商品開発部門との仕事が多く、通常は守秘義務契約を結ぶため実績を公表することはできません。しかしながら、メディアを含め多方面 で活躍させていただいております。無論、何十年も評価業務に従事している専門家に比べれば至らぬことも多くございます。しかし、選りすぐりの味覚保有者と ISO準拠の訓練プログラムを経た弊社のパネルはきっとご満足いただけるものと確信しております。
また、社員向けの訓練プログラムのみでも承っております。
ぜひ一度ご相談ください。

今回はここまで。では、また!

admin について

旧ブログ「官能評価なるもの」は平沼孝太が執筆しておりましたが、現在の「官能評価なるもん」は弊社社員が編集しております。
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