前回に続いて、SPSSのシンタックス紹介です。
今回はアンケートデータの基本的な集計(GTとクロス集計)について設問タイプ別にSPSSシンタックスをご紹介します。
※GT:Grand total/単純集計の略
アンケートの基本設問タイプは大きく分けて3つです。
SA:Single answer/単一回答
MA:Multiple answer/複数回答/多重回答
FA:Free answer/自由回答
基本集計ではSAとMAの設問が対象となります。
アンケートシステムの仕様によりMAデータの形式は異なりますが、SPSS上の解析は選択肢別に0/1データになっていることを前提として説明します。
もし1つのセルに複数の選択肢が入力されている場合はExcelなどで変換しておくと便利です。
●データパターン1:1つのセルに選択した全ての内容が入力してある(パターン2に変換します)
●データパターン2:選択肢毎に選択の有無が1/0(1:選択、0:非選択)で入力してある(そのまま下記説明通り使用できます)
●シンタックスのルール(再掲)
- 大文字と小文字を区別しません
- コマンドは3文字または4文字の略語を使用できます(FREQUENCIES->freq)。
- ピリオド(.)で終わります。
- 変数名は省略せずに入力(ピリオドは使わないことを推奨)
- コメントは「/*」「*/」で囲むか「*」「.」で囲む
- 全角スペースは使用しないこと
◆SA(Single Answer)設問の場合
●4.GT/度数分布「FREQUENCIES VARIABLES」
シンタックス式:
FREQUENCIES VARIABLES=変数名
/ORDER=ANALYSIS.
例:設問Q04_SAの単純集計(選択肢別度数分布)を表示します。
FREQUENCIES VARIABLES=Q04_SA /ORDER=ANALYSIS.
●5.クロス集計「CROSSTABS」
シンタックス式:
CROSSTABS
/TABLES=表側変数 BY 表頭変数
/FORMAT=AVALUE TABLES
/CELLS=COUNT COLUMN ROW TOTAL
/COUNT ROUND CELL.
例:表頭にQ01、表側にQ12のクロス集計表を出力します。
CROSSTABS /TABLES=Q01 BY Q12 /FORMAT=AVALUE TABLES /CELLS=COUNT COLUMN ROW TOTAL /COUNT ROUND CELL.
◆MA(Multipule Answer)設問(複数回答/多重回答)の場合
●6.GT/度数分布「MULT RESPONSE GROUPS」
シンタックス式:
MULT RESPONSE GROUPS=新変数名 ‘新ラベル’ (変数1 変数2 変数3 (集計対象の値))
/FREQUENCIES=新変数名.
例:q02_1からq02_6までの設問をまとめてQ02_MA(購入理由)として単純集計をします。
MULT RESPONSE GROUPS=$Q2_MA '購入理由' (q02_1 q02_2 q02_3 q02_4 q02_5 q02_6 (1)) /FREQUENCIES=$Q2.
●7.クロス集計「MULT RESPONSE GROUPS」
シンタックス式:
MULT RESPONSE GROUPS=新変数名 ‘新ラベル’ (変数1 変数2 変数3 (集計対象の値))
/FREQUENCIES=新変数名.
/VARIABLES=変数名(下限値 上限値)
/TABLES=表側変数 BY 表頭変数
/CELLS=COUNT COLUMN ROW TOTAL
/BASE=CASES.
例:q02_1からq02_6までの設問をまとめたQ02_MA(購入理由)を表頭、Q01,Q02,Q03を表側としてクロス集計表を出力します。
MULT RESPONSE GROUPS=$Q2_MA '購入理由' (q02_1 q02_2 q02_3 q02_4 q02_5 q02_6 (1)) /VARIABLES=Q01(1 2) Q02(1 3) Q03(1 3) /TABLES=Q01 Q02 Q03 BY $Q02_MA /CELLS=COUNT COLUMN ROW TOTAL /BASE=CASES.
アンケートの集計で使用する3つのシンタックスをご紹介しました。
注意点ですが、SPSSの集計で回答がなかった項目は集計に表示されません。例えば選択肢が1から5の内、5の選択がなかった場合は5が集計に表示されないのでご注意ください。
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SPSS関連の要望があれば、また取り上げてみたいと思います。