官能評価のデータ解析ではR・JMP・XLSTATを使った解析が多いのですが、マーケティングリサーチ関連ではやはりSPSSを使うことが多いです。
アッサムや太閤などのアンケート用のソフトウェアもありますが、調査会社以外ではあまり使いません。
SPSSは多くの大学にインストールされていますし、企業でも導入しているところは多いです。
アンケートと官能評価は同じデータのように考えている方が多いですが、かなり異なります。
アンケート調査の場合は、1行が1名を表して設問数が列数となります。
一方、官能評価のデータは手法によって大きく異なります。記述型官能評価の場合は繰り返しを行いますので1名が複数行というのが普通です。
アンケートのデータ形式)
行数=回答者の人数
列数=情報列(回答日時、IPアドレス、Email、会員番号)+設問列
※MA(マルチプルアンサー)の場合、0/1データに変換すると1つの設問が選択肢の数に増えます。
記述型官能評価のデータ形式)
行数=パネリスト数×サンプル数×繰り返し数
列数=情報列(パネリスト数、サンプル数、繰り返し数)+属性列
SPSSはアンケートデータ形式に最適なソフトウェアだと考えています。
SPSSは「Statistical Package for the Social Sciences」の略とされていました。社会調査用という訳です。その名の通りアンケート調査や社会調査に向いていると思います。
※紆余曲折があり、現在はIBM SPSSとだけ表示しているようです。
最近、久しぶりにSPSSを触ったのですが、実務でSPSSを扱う場合はシンタックスが便利です。設問数が多く、多重回答(MA)の処理やクロス集計などもなかなかの手間です。
特にデータ準備に必要なラベルの設定は設問が多い場合はなかなか大変です。
しかし、シンタックスを使うと短時間で処理できます。また、データに修正があった場合でもやり直しが簡単です。
今回は、SPSSのデータ準備に必要な3つのシンタックスをご紹介します。
●SPSSシンタックスのルール
- 大文字と小文字を区別しません。
- コマンドは3 文字または4 文字の略語を使用できます(FREQUENCIES->freq)。
- ピリオド(.) で終わります。
- スペースは半角(全角は使わない)
- 変数名は省略せずに入力(ピリオドは使わないことを推奨)
- コメントは「/*」「*/」で囲むか「*」「.」で囲む
- 全角スペースは使用しないこと
●1.変数ラベルの設定「VARIABLE LABELS」
シンタックス式:
variable labels 変数名 “変数ラベル”.
例:変数の名前が「Q01」に「年代」というラベルを設定します。
variable labels Q01 "年代".
●2.選択肢の設定「VALUE LABELS」
シンタックス式:
value labels 変数名
1 “変数ラベル”
2 “変数ラベル”.
例:変数の名前が「Q01」に8つの値とラベルを設定します。
value labels Q01 1 "10代" 2 "20代" 3 "30代" 4 "40代" 5 "50代" 6 "60代" 7 "70代" 8 "80代".
●3.選択肢の再コード設定「RECODE」
3つのコードを組み合わせます。
新しい変数を作り、元の変数を条件に基づいて変換します。
シンタックス式:
RECODE 元の変数名_条件 INTO 新変数名.
VARIABLE LABELS 新変数名 “新変数ラベル”.
VALUE LABELS 新変数名
1 “変数ラベル”
2 “変数ラベル”.
例:変数の名前が「Q01」から「GENERA」に3つのカテゴリに再コードします。
RECODE Q01 (1,2=1) (3,4=2) (5,6,7,8=3) INTO GENERA. VARIABLE LABELS GENERA "世代". VALUE LABELS GENERA 1 "平成" 2 "第二次ベビーブーマー前後" 3 "第一次ベビーブーマー前後".
私は上記のシンタックスをエクセルで作って張り付けています。
変数ラベルの設定であれば下記のような式です(エクセルのセル内の式)。
="variable labels " & 変数名のセル番地 & 変数ラベルのセル番地 & "."
Rでもアンケートデータの解析はできます。SensoMineRパッケージのサンプルデータ「cream_signa」はフランスで取得されたアンケートデータです。但し仏語です。
サンプルデータを使ってアンケートデータの解析も試してみてください。
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