■□■□■□■官能評価TT通信No.19■□■□■□■
今回のテーマは「順位データの活用」です。
官能評価を行なう時、尺度を意識することは非常に重要です。その後の解析手法に影響を与えますし、そもそも尺度によっては分析できないこともあるからです。
尺度には4つの種類がああリます。
1. 名義尺度(nominal scale)
2. 順序尺度(ordinal scale)
3. 間隔尺度(interval scale)
4. 比尺度(rational scale)
比尺度は、比率が確保されており四則計算が出来るので様々な解析に用いることが出来ます。一般に多変量解析に用いることのできる尺度は間隔尺度と比尺度です。実際、一番用いられているのが間隔尺度ではないでしょうか。
その間隔尺度は、まさにその名前の通り等間隔性が確保されていることが前提となります。9ポイントスケール(1,2,・・・8,9)であれば、1と2の間 と8と9の間の間隔が等しくなければなりません(この等しいというのも精度にこだわりだすと非常に厄介ですが、ある程度の等間隔性を確保していると考えて ください)。以上のことを保証する尺度を開発するにはコストがかかります。
また、いくつかの分析では前提条件として「正規分布」であることが求められることがあります。通常は正規分布であると仮定して分析を行なっておりますが、中には正規分布しないものもしばしば見受けられます。
そこで正規分布していなくても分析できる方法はないかというとあるんです。それが「順序尺度」(順序データ)です。統計に詳しい人なら今更でしょうが「ノンパラメトリック」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは母集団の分布が特定できない(正規分布しているかどうかわからない)ときに用いられる手法です。
この他、尺度がきちんと検証されていなければ等間隔性の確保は難しいでしょう。そして、あまりトレーニングされていないパネルで実施することもあります。トレーニングを受けていないパネルによる評価でも等間隔性を確保するのは困難です。
順序データはデータ収集後の柔軟性が高い手法です。狙って取られることはもちろん、実際の業務の中では間隔尺度でデータを収集し、分析の時点で順序データ化することもあると思います。このようにデータを取ってからの柔軟性もあります。
なかなか尺度開発・パネル育成に時間やお金をかけられないことも多いと思います。
忙しい業務の中で、母集団の正規分布・尺度の等間隔性・パネルの能力などに不安がある時は、順序データを活用していくことをおすすめします。
今回は「順序データの活用」でした。
では、また!