官能評価業務おけるRPA(Robotic Process Automation)の準備

ビッグデータ関連の業界ではRPA(Robotic Process Automation)という言葉が流行っております。
いわゆるパソコン操作の自動化です。

今まででも、Excelのマクロ機能やuwscなどのマクロ(自動化)ソフトを使ってパソコン操作を自動化出来ていたのですが、RPAではフローチャートなどを用いてプログラムを書かずに自動化できる点が既存のマクロソフトに比べて優れている点でしょう。

多くのRPAソフトで、実用可能なレベルの自動化を作成しようとすると、業務の流れを正しく描き、またイレギュラーな動作を想定したエラー処理を適切に行う必要があります。
これはプログラミングスキル(論理的思考、またはアルゴリズム的思考)といってよいでしょう。
このようなスキルが必要となるのであれば、現時点でRPAのメリットというのは費用対効果が主であり、人間が従来出来ないことをRPAで出来るようになるという訳ではありません。

一方、RPAの先にはAIによる業務の自動化も見据えています。状況に応じた判断を含むパソコン作業も自動化される時代が来るのでしょう。

そこで、官能評価業務もRPAや業務の自動化への準備を始めてみませんか

弊社の研修では次の話をしております。

「近い将来、解析業務は自動化されるでしょう。官能評価の従事者に必要とされる能力は解析業務ではなくなります。解析結果の解釈や、自動化が難しいパネルマネジメントが重要なスキルとなるでしょう。」

現状では、どのような官能評価業務ならば自動化できそうでしょうか。
例えば下記の業務です。

・定型解析業務
・定型レポート作成
・パネル招集
・パネル選抜

この他に、設計業務でも定型的なものならば可能でしょう。

逆に、アドホックな評価(1度きりのカスタム評価)に関する業務は自動化が難しいです。
また、評価実施(試食試飲)に関わるプロセスは「データを取得に失敗するリスク」を考えると自動化のメリットが割に合わなくなります。

つまるところ、業務の自動化や効率化は、その業務を行う上でイレギュラーがどの程度発生するかに基づき、「自動化によるメリット」と「失敗によるリスク」の兼ね合いによって適否が決まります

官能評価担当者レベルで対応可能な自動化は「解析」と「レポート」が適していると思います。(パネル招集等も社内システムによっては可能でしょう)

実際、評価回数の多い企業(毎日のように評価が行われている企業)では解析テンプレートを使っています。
例えば下記のようなものです。

・関数を設定したExcelシートを作成して、取得したデータを張り付けるだけで、レポートシート(A4サイズで2枚)が完成するような仕組み
・Rのテンプレートスクリプトを用意しておき、数か所書き換えるだけで解析とHTMLレポートが作成されるような仕組み

弊社で受託した案件では下記のような事例があります。(受託例はこちら

・FIZZデータをExcelで処理
・FIZZデータとRで処理(出力はhtml形式)
・ExcelとR(解析エンジンとしてRを使用。出力はExcel)

外部に発注するほどでなくても、Excelのテンプレートを作成しておくことで業務はだいぶ楽になります。

また、同時にテンプレート作成をしていく中で「本当に必要な情報は何か」が明確になってきます。現在の統計ソフトは様々な指標を出力してくれますが、本当に必要な情報はそれほど多くありません。

2018年時点の自動化への第一歩は「テンプレートの作成」だと考えております。

テンプレートの作成を通じて、業務を見直し
テンプレートの作成によって、業務を自動化し、
テンプレートの作成によって、RPAに備える

「テンプレート」があれば業務の引継ぎも楽々ですよ

admin について

旧ブログ「官能評価なるもの」は平沼孝太が執筆しておりましたが、現在の「官能評価なるもん」は弊社社員が編集しております。
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