今回はSensoMineR最新版(v1.23)で採用された「JARデータの解析機能」をご紹介します。
SensoMineRはRの総合官能評価パッケージです。
2005年に最初のバージョンが公開されてから10年以上が経過しております。
SensoMineRは時代の変化に対応し、様々な機能が追加されてきました。
現行のバージョンは、2017年12月にアップデートされたv1.23です。
以前、ブログでもJAR(Just-About-Right scale)についてはご紹介しましたが、海外でJARデータの活用気運が高まっております。
SensoMineRのJARデータに対応したコマンドは2つです。
- JAR(ペナルティ分析)
- CA_JAR(コレスポンデンス分析)
Rコマンダーからこれらのコマンドを操作できませんので、スクリプトを入力して実行します。
ここではサンプルデータを使った例をご紹介しましょう。
■JAR(ペナルティ分析)
ヘルプのサンプルを書き換えて、全てのサンプルを1つの図に表示するようにしました。
##############################
### JAR-Penality analysis
##############################
#パッケージを読み込みます。
library(SensoMineR)
#データセットを読み込みます。
data(JAR)
#JARコマンドを実行し、結果をres.jarに代入します。
res.jar <- JAR(JAR,col.p=13,col.j=1,col.pref=2)
#1行3列の描画デバイスを設定します。
par(mfrow=c(1,3))
#3つのサンプルのペナルティ分析グラフを表示します。
plot(res.jar,name.prod=”284″, model=1)
plot(res.jar,name.prod=”859″, model=1)
plot(res.jar,name.prod=”972″, model=1)
#ここまで——————————–
■CA_JAR(コレスポンデンス分析)
次にコレスポンデンス分析によるマッピングを行います。
CA_JARのヘルプにあるExamples(サンプルスクリプト)は下記の通りですが、このままでは実行できません。
data(JAR)
res <- CA_JAR(JAR)
plot.CA(res,invisible=”row”,cex=0.8)
2行目のCA_JARについては引数が足りないようです。ヘルプを参照して引数を修正します。
#2行目修正後コード
res <- CA_JAR(JAR,col.p=13, col.j=1, col.pref=2, jarlevel=”jar”)
また、3行目のplot.CAについては、対象のデータフレームresのままではエラーが表示されます。 そこでplot.CAのヘルプを参照してみると第1引数にはCAクラスのオブジェクトを指定する必要があります。 resの中身をattributesコマンドで確認してみましょう。
> attributes(res)
$names
[1] “Frequency” “res.CA”
resの中には2つの項目があることが分かりました。各項目のクラスをclassコマンドで確認します。
> class(res$Frequency)
[1] “matrix”
> class(res$res.CA)
[1] “CA” “list”
res$res.CA がCAクラスのオブジェクトであることがわかりましたので、第1引数を修正します。
#3行目修正後コード
plot.CA(res$res.CA,invisible=”row”,cex=0.8)
下記が修正したスクリプトです。
##############################
### JAR-Correspondence analysis
##############################
#パッケージを読み込みます。
library(SensoMineR)
#データセットを読み込みます。
data(JAR)
#コレスポンデンス分析を実行します。
res <- CA_JAR(JAR,col.p=13, col.j=1, col.pref=2, jarlevel=”jar”)
#グラフを表示
plot.CA(res$res.CA,invisible=”row”,cex=0.8)
#ここまで——————————–
ところで、plot.CAを実行しなくてもCA_JARを実行した時点でマップは作成されます。
なぜplot.CAが必要なのでしょうか?
これはCA_JARではグラフのカスタマイズが出来ないためです。
カスタマイズされたグラフを作成したい場合は、plot.CAを使って目的に合ったグラフを作成します。
さて、今回はSensoMineRの新機能JARデータの解析をご紹介しました。
最新の官能評価手法にも対応したSensoMineRを使いこなせると活用範囲が広がります。
ぜひ、SensoMineRを使ってみてください。
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