jmp14が出ましたので一言

jmp14が発売されました。
官能評価担当者の中でもjmpユーザーは多くいらっしゃいます。
以前は弊社のクライアント向けにjmpの提案をしておりましたが、近年はRやXLSTATを主に提案するようになりました。

やはり一番のポイントは「価格」です。
多くの官能評価部門の予算は少なく、人数分のソフトウェアライセンスを確保するとなるとそれなりの金額になります。
その点、フリーウェアのRは人数に関係なく無料です。XLSTATは機能を絞って製品を選べば、jmpに比べて金額を抑えられます。

次に「手法」です。
官能評価で用いる分析手法は、マーケティングなどの分野に比べて限定的です。
jmp14では官能評価で用いられるMFA(Multiple Factor Analysis:多重因子分析)やBIBD(Balanced incomplete block design:不完備釣合い型ブロック計画)が搭載されましたが、今更感があります。
Rは様々なパッケージがあるので、当然これらの分析は可能です。また、XLSTATのセンサリー版はこれら手法は以前から搭載されています。XLSTATは手法の採用が早く、現バージョンでは通常の官能評価運営に必要なツールが一通り揃っていると言えます。

但し、XLSTATのR連携機能はPC環境によってはうまく作動しないことがあり、今後の改善が望まれます。

R連携については、基本的にRはR単体で使うのが良いと考えています。
Rの出力をファイル等に出力し、他のアプリケーションで編集・加工するというのがトラブルが少ないように思います。
例えば、Excelを分析ハブとしてExcel上でXLSTAT(アドインなので当然ですが)で解析と編集、Rの解析結果をExcelで編集という使い方(R仲介法)がトラブルなく使える使い方として推奨しております。

最後に「ライセンスの問題」です。
jmpのライセンスは複雑で、シングルライセンスと年間ライセンスによっても異なるようです。
ビッグデータのように第3者データを扱う場合は注意が必要です。jmpオンライン注文の画面には下記のような文言があります。

「ご注文または価格についてご質問がある場合、あるいは業務上で第三者のデータ処理が発生する場合は、当社までお問い合わせください。」(2018年5月7日確認)

様々なデータソース、特に第3者のデータを扱う場合はjmpではライセンス上の問題が出てくるので注意が必要です。

以上の3つの理由(価格、手法、ライセンス)から、近年はRやXLSTATを中心に提案するようになってきました。

しかし、それでも私はjmpを使い続けています。

理由は「使いやすさ」です。

jmpに初めて触れたのはjmp4か5の頃です。しかし、それまで使っていたSPSSなどの統計ソフトなどの操作感とあまりにも違いすぎて使わずに放置していました。何せ、主成分分析を行おうにもメニューに主成分分析がなかったのですから・・・。業務上の必要に迫られて、jmpの使い方を勉強しました。当時では下記の書籍を参考に勉強しました。

・JMP活用 統計学とっておき勉強法―革新的統計ソフトと手計算で学ぶ統計入門 (ブルーバックス CD-ROM)
・JMPを用いた統計およびデータ分析(JMP START STATISTICS)

多少jmpを使えるようになってから、jmpの操作感は直観的で分析者の想像力を刺激するような構成になっていることに気が付きました。
例えばjmpではデータシートやグラフがリンクしています。探索的な解析をしているときに、グラフ上の気になるポイントを選択するとデータシートの当該データ行もアクティブになり、そこからサブセットを作成し、解析する。こんな分析がスムーズにできてしまうというのがjmpの魅力です。

jmpに一度慣れてしまったら他のソフトウェアには戻れなくなりました。
まあ、実際は他のソフトも使ってますが、未だにjmpがメインツールです。

各ソフトについて私なりのメリットデメリットをご紹介しましたが、官能評価データの解析ソフトウェアの選択指針を下記に示します。
・ソフトウェアの学習コストを抑えつつ、自社データの探索的な分析も行いたいのであれば「jmp」をお勧めします。
・予算を抑えつつ、官能評価データを主に扱うのであれば「XLSTAT-Sensory」がお勧めです。
・ソフトウェアの学習努力ができて、最新の分析手法も行いたいのであれば「R」をお勧めします。

なお、解析界隈ではRに並んでPythonが解析言語として人気です。しかし、官能評価データの解析に限って言えば、現時点ではRの方をお勧めします。理由はRの方が官能評価パッケージが揃っているからです。

ソフトウェアを一度決めてしまうと変更には大変な労力が必要です。過去の資産や操作技術の再習得などの価格以外のコストも考えると導入時期にしっかりとメリットデメリットを理解しておくことが大切です。

弊社ではユーザーのニーズに合ったソフトウェアをご提案しております。
官能評価・マーケティング・ビッグデータ・人工知能などの用途別に、また解析スキルに合わせたソフトウェアをご提案いたします。

お気軽にお問い合わせください。

admin について

旧ブログ「官能評価なるもの」は平沼孝太が執筆しておりましたが、現在の「官能評価なるもん」は弊社社員が編集しております。
カテゴリー: 「官能評価なるもの」アーカイブ パーマリンク