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■□■□■□■官能評価TT通信No.9■□■□■□■

今回のテーマは「データ収集と分析」です。

皆さんは官能評価を設計・実施する際にどちらに力を入れていますか?

無論、どちらも大切というのはわかりますが、あえて順位をつけるならば、です。

実務レベルで見る限り、私は「データ収集」に力を入れるべきだと考えてます。

ここで理想的なデータ収集が出来たと仮定しましょう。

同じ実験下では全く同じデータが得られ(信頼性)、そのデータが知りたいことを的確に表わしている(妥当性)としましょう。そして、得られたデータは比尺度(四則計算が出来る)として1次元性を完全に満たしているとします。(真の値を知ることが出来ると考えます)

この場合ならデータ分析の上手下手によって得られる情報量が変わってきます。つまり、データ分析の重要性が高いといえるでしょう。(データ分析が優位

次は、自然科学的な物理量の測定を考えましょう。例をあげるなら、マイクロメーターでサンプルの長さを測るというのはどうでしょう。同じ実験下で、偶然誤差のみのバラツキ(対処できないバラツキ)を有するデータを得られるとしましょう。

この場合、データは誤差論に基づいて一定の処理をすれば、前述の理想状態と同じようにデータ分析によって情報量が変わりますので、これもデータ分析の重要性が高いといえます。しかし、理想状態に比べればデータ収集の重要性も上がってきますので収集・分析が同位としましょう。

最後は現実的な官能評価の場合です。

データの信頼性はどうでしょうか?人間は疲労がありますし、体調や感情など変化する要因はいくらでもあります。パネル内部のバラツキもありますし、パネル間のバラツキもあります。

妥当性の問題も小さくありません。あるパネルが「甘さ」という質問に食品から受けた「コク」という刺激の強度を回答し、別のパネルは「うま味」の 刺激を「甘さ」と認知したとしましょう。パネル同士が別の刺激を評価しているようなデータの平均や分散を算出しても、知りたい結果は得られません。これは ノントレーニングの一般パネルの例ですが、トレーニングを受けた分析パネルにおいても妥当性の問題を完全に無くすことは、コストとの兼ね合いからいっても 難しいです。

この他、官能評価は人間を介するため複雑な要因が絡み合っています。そのため、系統誤差を特定し、これを高度に統制することが難しくなっていま す。(系統誤差の定義は残念ながら分かりません。本や人によって定義が異なっているようです。良い定義を知っていたら教えてください)

以上のような特徴をもつ官能評価では、データ収集が高い重要性を持っています(データ収集の優位)。

高額な多機能統計ソフトによる分析も面白いですが、データ収集にもお金と時間をかけてみてはいかがでしょうか。

まぁ、上司は嫌がりますが(笑)

今回は、あえてデータ収集と分析に優先順位をつけてみました。誤解のないように付け加えますが、分析も大事ですよ!

では、また!

admin について

旧ブログ「官能評価なるもの」は平沼孝太が執筆しておりましたが、現在の「官能評価なるもん」は弊社社員が編集しております。
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