■□■□■□■官能評価TT通信No.12■□■□■□■
今回のテーマは「オペレーション」です。
官能評価では設計とパネル育成に議論が集中してしまいますが、良いデータを取るには官能評価を実施する「オペレーション」も非常に重要な要因です。
例えば「食品の温度」を変数として、温かい時と冷めた時の味を評価する場合を考えてみましょう。設計はバッチリです。実験計画法に基づき、合理的な実験を考えています。
しかし、実施の際、作業者の不手際で温かいまま提供すべき試料が冷めて提供されてしまうことがあります。これでは、いくら適切な実験計画であっても良いデータを取ることは出来ません。
計画者(評価の実施を設計するヒト)と作業者(試料の作成・供給などを行なう評価業務の裏方さん)が同一人物ではない場合にしばしば起こります。
一般に、官能評価従事者と言えば、
1.官能評価技術者(計画者)(評価を設計し、分析、報告などを行なう総合技術者)
2.パネリスト(試料を味わい、スケール評価や描写・記述などを行なうヒト)
3.オペレーター(作業者)(評価実施の際に試料を作成したり、パネリストに試料を供給するなどアシスタント業務を行なうヒト)
通常は1と2について議論されます。セミナーなどは1の官能評価技術者に対して、2のパネリストの選抜・訓練について議論や教育などが行なわれます。
実務上では同一人物が1と3の役割を兼ねることが多いですが、実際は複数のオペレーターで行ないます。一人では同時に出来ることに限界があり、温度の管理など容易に変化する要因の統制が難しくなるからです。
では、手伝って欲しいオペレーターと手伝って欲しくないオペレーターの違いはなんでしょうか?ここで「手伝って欲しいオペレーター」について考えてみましょう。
【手伝ってほしいオペレーター】
1.評価の目的を理解している
2.目的を達成する複数の方法を知っている
3.2の方法をスムーズに実施できる(経験がある)
4.評価当日に実施する内容を知っている
5.評価実施の際に発生する諸問題の解決案・代替案を適時実施できる
つまり、「手伝って欲しいオペレーター」とは、
「設計者が欲しいデータを取れるオペレーター」
といえるでしょう。
しかし、いつでも素晴らしいオペレーターばかりとは限りません。そこで事前の準備としてシュミレーションをしっかりやることが大切です。私の言う「しっかり」とは、箸の上げ下げまで指示・訓練することです。
ボランティアで手伝ってもらう場合にはイヤな顔をされるでしょうが、そこは業務に対する情熱を伝えて理解してもらうしかありません。
パネル育成と同様にオペレーター育成も官能評価では大切であることを再認識していただければと思います。
今回は「オペレーション」についてでした。
では、また!