虎のANA

■□■□■□■官能評価TT通信No.21■□■□■□■

さて、今回のテーマは「パネル訓練環境」です。

このブログでもパネルの重要性は述べてまいりました。特にその中でも分析型パネルは訓練が欠かせません。しかし、専従パネリストを持つ企業は一握りの企業だけです。中小企業や小規模で官能評価を行なっている担当者はどのようにパネルを訓練していけばよいのでしょうか。

目的や精度に応じて様々な状況が考えられますので、一般論として訓練のためにどのような環境を提供していったらよいのかを考えてみたいと思います。

専従ではないパネリストの場合、評価会の実施は基本的に彼らの意欲に支えられています。そこで彼らの意欲を高めつつ、能力も高めていく環境や方法が必要です。そこで私たちが考える「分析パネルの能力を引き出す条件」は次の3つです。

1.能力を客観的に評価する
2.能力を向上させる環境を提供する
3.嗜好性や感情に関わることを評価しない

まず、第1の「客観的能力評価」はいうまでもありません。基準を決め、誰もが納得いく判断・評価をするというものです。味覚や嗅覚などの感覚は絶えず変化 しており、様々な要因に影響を受けます。パネリストの社内選抜において1度きりの検査で落とされた方が「あの時は調子が悪かった」と泣きついて参加を希望 されたとしても、これは断るべきでしょう。もし、これでその人が採用され、同様の状況で落ちた人がいたら担当者の印象も悪くなりますし、選抜検査自体の信 憑性も疑われてしまいます。選抜に限らず、能力の評価は可能な限り数値などで客観的に提示することが重要です。

弊社では、定性評価の客観性を補完するため、表現した全てをテキストデータ化し、テキストマイニングによって客観性を高めております。

第2の「環境の提供」については官能評価担当者だけでは出来ない問題があります。評価会への参加のため、業務を一時抜けなければならないとしたらその部署の同僚の支援が必要になります。ここでは官能評価担当者側で提供できる環境に付いて考えてみます。

私がお奨めするのが、パネリストが訓練したい時にいつでも訓練できる環境を提供することです。パネリストは自己の能力開発に興味があります。それ を客観的に評価・フィードバックする環境を作り出せば、ゴルフのスコアに執着するお父様方のようにヒマさえあれば素振りしてくれることでしょう。

もう一つメリットがあります。パネリストと官能評価担当者のコミュニケーションが密になることによって情報量が変わってきます。

ぜひ、出入り自由なパネルトレーニング室の開設はいかがでしょうか?

そして、最後が「嗜好性や感情には触れない」ということです。これは担当者側が気をつけなければならないと思います。プロフェッショナルパネリス トなら『そんなことで気にしていたら仕事にならん』のですが、専従ではない、官能評価に詳しくないパネリストだと気を悪くします。仮に聞く場合も「○○さ ん」ではなく、「性別○、年齢△才、の代表者として来ていただいた○○さん」として聞いたほうが良いでしょう。個人と属性を切り離すことによってクッショ ンが出来ます。

以上、3つの条件について書きましたが、やはりお奨めは「出入り自由なパネルトレーニング室」です。場所が余分に必要となるので中小企業ではイタイと思うのですが・・・。

今回は「パネル訓練」でした。
ではまた!

admin について

旧ブログ「官能評価なるもの」は平沼孝太が執筆しておりましたが、現在の「官能評価なるもん」は弊社社員が編集しております。
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