官能評価といえば食品業界というイメージがありますが、食品業界以外にも様々な業界で活用されています。
化粧品・コスメなどのパーソナルケア業界も古くから官能評価を活用している業界です。
しかし、食品関連の活用が多いため、書籍やISOなどの事例では食品関連が多く取り上げられており、コスメ系の担当者は参考事例が少ない上に他社の情報も手に入りにくいため悩んでおられます。
当ブログではISO規格の情報や事例を参照することをお勧めしておりますが、コスメの情報が少なくお悩みの解決とまではいかないようです。
そんな時、コスメ系の担当者には別の標準規格を紹介しております。
それが、
ASTM規格E1490-11(2011)「Standard Guide for Two Sensory Descriptive Analysis Approaches for Skin Creams and Lotions」
です。
1997年に初版、2003年に改訂、そして2011年にも改訂されています。2011年版が最新版となります(2019年現在)。
(2022/8/1追記)2019年末に更新されE1490-19(2019)が2022年現在の最新版となります。
内容は、消費者評価と専門家評価についての記述型評価について記載されており、コスメ関連では汎用性が高い内容です。また、調査票や評価用語リスト、解析例がコスメを例としており、コスメの官能評価者には役立つ内容になっています。
官能評価を実施する上で、基本的な原理や考え方はどの業界・商品でも同じですが、各種バイアス(順序効果、疲労効果など)の出方や大きさが異なります。これらは制約条件となって設計や実施上の課題となって官能評価担当者の目前に立ち塞がります。既存の食品メインの書籍では得られなかったコスメ特有の課題についてのアドバイスが、このASTM-E1490を通して得られることと思います。
化粧品・コスメの官能評価に携わっている方は、ぜひ持っていて損はありません。PDF版で69ドル(執筆時点)です。
但し、官能評価の基礎知識は記載されておりませんので、そちらは官能評価の一般書籍などで補完する必要があります。
今回は化粧品・コスメに役立つ規格ASTM-E1490をご紹介しました。