“Prompt Engineer in Sensory Evaluation”爆誕か!

企業では入社式、学校では入学式や始業式が行われて新年度が始まりました。
人事異動などで新しい環境でスタートされた方もいらっしゃるでしょう。

日本企業の場合、多くの官能評価担当者が官能評価の知識や経験を持たないまま配属されることが多いため、学ぶことが多くて大変だと思います。サポートできることもございますので、お困りのことがあればご相談ください。

さて、そんなコンサルティング業を行っている弊社テイストテクノロジー社ですが、強大なライバルが現れました。

”chatGPT”です。

ご存じの方も多いでしょうが、簡単に説明します。
いや、せっかくなのでchatGPTに聞いてみましょう。

だそうです。

自然な会話や翻訳、文書作成、要約など様々な使い方があります。
Youtubeを見ていると、プログラマーの方がchatGPTを使ってアプリを開発したり、英語学習に役立てたりと様々な使い方を模索されているのがわかります。

たしかに、新しい時代が来た!、という感じがあります。

さて、それでは市場調査や官能評価の担当者にとってどのようなインパクトがあるのでしょうか?

まず、現時点(2023/4/6)でのchatGPTは最新の情報をリアルタイムに取り入れて回答することができません(方法はありますが、通常の利用においては不可です)。
つまり、市場調査のデータソースとしてトレンドや消費者の声を収集するような使い方はできません
今後はできるようになるでしょう(近い将来、恐らくかなり近い・・・)。

次に、噂されているように仕事を奪われてしまうのでしょうか?
また我々の業務の代わりや支援をすることはできるのでしょうか?

リサーチ業務の一部についてchatGPTに4つの依頼をしてみました。
※得られた回答を見て、私が主観的に判定した結果を「判定:」の下に記載しております。

1.調査企画の作成を依頼してみました。

判定:
リサーチ会社の入社2-3年目といったところでしょうか。

2.提供計画(実験計画:釣合い型不完備ブロック計画)の作成を依頼してみました。

判定:
自然な指示で、それらしい表は作成されました。しかし、表を確認したらバランスしていませんでした。
※つり合い型(balanced)と不完備/不完全(incomplete block)をうまく理解できてないようで、うまく指示が出せれば作成できそうです。

3.解析用のRスクリプトの作成を依頼してみました。

判定:
一般的な主成分分析のスクリプトは作成できました(サンプルプログラムレベル)。
実際のデータを与えて作成を依頼した場合、スクリプトは出力されましたが、そのままでは動作せず、修正が必要でした。修正にはR言語の知識が必要なため、初心者の支援には向きません。

4.結果の要約を依頼してみました(属性別平均値の表を与えて要約)。

判定:
商品別平均値を元に商品の特徴を要約できました。
マーケティングリサーチの報告書では、淡々と要約をする場面もあり、リサーチャー1年目の作業を補佐することは可能です。

以上の結果を見ると、chatGPTの回答レベルは「博士課程を卒業した新入社員」といった感じです。

実験計画法やR言語などの専門知識は非常にレベルが高く、質問次第では研究者レベルの知識がどんどん回答されます。
一方で、こちらの指示を元に目的に合致した回答が出てくるかというと、そこはまだ難しいようです。

指示の出し方や質問の範囲を適切に設定すれば有用です。しかし、適切な指示を出したとしても間違いがあるようなので、当面の利用者はchatGPTの回答の間違いに気が付き、修正できる知識があること(中級者以上)が前提となります。

当面は中級者以上の支援ツールとなりますが、それでも十分役立つ支援ツールです。
近い将来、机上の業務(設計や解析など)は代わりに仕事をしてくれるようになるでしょう。

さて、実際の業務では、

「あの件、どうなった?」
「報告書をもっと見やすくして」

などと、上司からのあいまいな指示でも業務は進んでいきます。

上記レベルの指示でchatGPTが適切な作業をすることはかなり難しいでしょう。
当面は仕事を奪われることはなさそうです。

しかし、細分化された机上業務はAIによって代替することはできるようになります。
そして、人間のあいまいな指示や質問をAIに適切に翻訳して伝える業務が増えてくるでしょう。

実際、chatGPTでもプロンプトエンジニアリング(prompt engineering)と呼ばれる技術について、youtubeや書籍・ブログ等ではホットなトピックになっています。
今年の夏頃には「2時間でわかるプロンプトの書き方」なんてのが出版されるのでしょうか(アマゾンではchatGPTについて既に相当数の書籍がありました)。

プロンプトエンジニア(prompt engineer)は、AIエンジンの特性に合わせた指示文(プロンプト)の作成スキルを身に着けており、さらに業種別の知識(ドメイン知識)が必要になります。
そのため、プロンプトエンジニアは業種別で活躍するでしょう。

今後は対話型AIの普及に伴い、企業の官能評価技術者の多くは「Prompt engineer in sensory evaluation」となっていくでしょう。

PESE爆誕ですね。

私も数年後には「職業PE(ピー・イー)」なんて言ってるかもしれません。

今回は巷で噂のchatGPTについて、官能評価分野からの視点で書いてみました。
おそらく変化のスピードは、相当早いと思いますので私も勉強して行きたいと思います。

admin について

旧ブログ「官能評価なるもの」は平沼孝太が執筆しておりましたが、現在の「官能評価なるもん」は弊社社員が編集しております。
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