パネルに関するISO規格のアップデート

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

年末のキャンペーンには多数の御問合せ・ご予約をいただき、ありがとうございました。キャンペーンは終了いたしましたが、予約は受け付けておりますのでよろしくお願いいたします。

さて、2012年末に官能評価にかんするISO規格で大きめの変更・追加がありました。12/14にISO 8586:2012が発行されました。

ISO 8586は、以前はISO 8586-1とISO 8586-2に分けられておりました。また、ISO 8586-2は1994年に初版、2008年に改訂が入っておりました。そして今回の改定では、1と2が統合し、一つのISO 8586としてまとまりました。

ISO 8586とは「Sensory analysis — General guidelines for the selection, training and monitoring of selected assessors and expert sensory assessors」(官能試験-選ばれた官能試験員及び専門官能試験員の選抜,訓練及び監視の一般指針)です。

また、2012/10/29にはISO11132「Sensory analysis — Methodology — Guidelines for monitoring the performance of a quantitative sensory panel」(官能試験-方法論-定量的官能パネルの性能モニタリングの指針)が新たに発行されています。

両規格とも官能評価パネルに関する規格であるところが面白いです。近年の流れから見れば、記述型官能評価の広まりと多様化が背景にあるのでしょう。

実際、弊社の業務の中でも記述型官能評価パネルのスクリーニング・訓練・維持管理に関する案件が増えております。また、同時に記述型官能評価(QDA)をきちんと導入したいという話が増えております。

実際、QDAを導入する場合、弊社ではパネルリーダー研修を実施します。先に座学を行い、後半はワークショップを通じて実際の評価設計から、パネルスクリーニング・採用・訓練・用語構築・本評価・分析・報告までを一貫して行います。半年ほどかかるので、年に2社実施するのがギリギリです。(2013年はもう1社枠がありますのでご興味のある方は右のフォームからお問い合わせください)

その際、QDAにもさまざまなやり方があるので、要求に合わせたメソッドを提供しております。

また、すでにQDAを導入・実施されている企業様向けにはパネルのスクリーニング・トレーニングを行っております。特にトレーニングでは、トレーニングメソッドとパネリストの評価方法を官能評価担当者に指導・提供します。

弊社の評価方法と今回の紹介した規格(ISO8586とISO11132)を比較してみたところ、ほとんど網羅していることがわかりました。弊社トレーニングプログラムを作成したときに参照したのがISO8586-1,2です。また、ISO11132も先行規格となるISO8586-1,2に基づいて作成されていますから、当然といえば当然です。

官能評価に関するISOの流れとして、根本のところは変わらず、細かいところも規格で提示するようになってきたように思います。個別例としての規格は、1980年以前は茶やワインの評価器具などしかなかったのですが、現在は牛乳・オリーブオイル・コルク栓・包装・デュラムセモリナ・未焙煎コーヒー豆などが個別に規格発行されています。

今後は、記述型官能評価と個別の規格ラインナップの充実がさらに進むと思われます。

細かさ・多様さではASTM(アメリカ規格)には劣りますが、官能評価の規格としてはISOの存在意義は弱くなることはないでしょう。

2012年末に発行されたISO8586とISO11132をご紹介しました。

admin について

旧ブログ「官能評価なるもの」は平沼孝太が執筆しておりましたが、現在の「官能評価なるもん」は弊社社員が編集しております。
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