今年も残すところあと数日となりました。
今年の官能評価関連の状況を振り返りたいと思います。
1.Pangborn2019の開催
2.ラピッドメソッドの定着化
3.Rの浸透
4.ISO・JIS関連の更新情報
1.Pangborn2019の開催
今年はエジンバラでPangbornが開催されました。若干日本企業の参加数が減少していますが、多くの企業様がポスターや講演では活躍されておりました。
また、楽天リサーチが企業展示されていたのが印象的でした。国内のリサーチ企業がさらに参加されることを期待しております。
2.ラピッドメソッドの定着化
NappingやCATAをはじめとしたラピッドメソッドが定着し始めているようです。以前は新しい手法への興味として実施する方もいましたが、最近は普段使いの手法としてお使いになる方が増えてきています。特にNappingは紙と定規があればできます。また、CATAはアンケートソフトのマルチプルアンサー機能(MA)で回答できるので、気軽に始められます。
一方で、FIZZも完全対応とまでいかず、適切な解析ツールがないのが課題です。
3.Rの浸透
前述の影響かもしれませんが、フリーウェアの「R」の利用が浸透してきています。企業のパソコンにフリーウェアをインストールするのは申請や許可が必要なため、中々簡単に使えないという声が多かったのですが、最近は簡単に許可が出ているようです。その為、自分のパソコンにRを入れて解析を行う方が増えてきています。マニアなソフトから一般人向けのソフトになりつつあるように感じております。
利用者はRstudio派とRコマンダー派が多く、R本体のみという方もいらっしゃいます。
弊社では官能評価パッケージのSensoMineRをお勧めしているためRコマンダーを利用することが多いです。
Rの利用はコマンド入力が壁となっているようです。
使いやすさが今後の普及の鍵でしょう。
4.ISO・JIS関連の更新情報
2019年のISO更新情報です。
ISO3103はお茶サンプル準備の規格が更新されました。
ISO16820は逐次法の規格です。識別法の新アプローチがこちらにも適用されました。
ISO20613は品質管理の規格です。品質管理(QC)の規格がなかったのが意外です。
【更新】
●ISO 3103:2019(1stEd. 1980)
Tea – Preparation of liquor for use in sensory tests
発行年月日: 2019-12-09
さまざまな種類のカメリアシネンシスベース(Camellia sinensis-based tea)のお茶の商業取引の増加を反映するために改訂が行われました。 このドキュメントでは、現在の国際標準(黒と緑)があるお茶を、同じハードウェアを使用して共通のフレームワークで評価することができます。
●ISO 16820:2019(1stEd. 2004)
Sensory analysis – Methodology – Sequential analysis
発行年月日: 2019-10-03
Thurstonianδアプローチの使用に関する情報と新しいリファレンス[7]の引用が5.1に追加されました。
【新規】
●ISO 20613:2019(1stEd.)
Sensory analysis – General guidance for the application of sensory analysis in quality control
発行年月日: 2019-02-28
品質管理(QC)における官能分析プログラムに関するガイドラインを提供します。
QC用途の工場内官能分析に限定されています。
QCの特徴としてリファレンスやキャリブレーションといった再現性を確保するための方法が記載されています。
2019年の個人的なニュースとしては、8年ほど使っていたメインパソコンをこの年末に変えることにしました。
今でも普段使いとしては全く問題ありませんが、技術の進歩は目覚ましく、新しいほうが安くて速いということでこの年末に入れ替えを実行しました。ディープラーニングに使っていたちょっと型落ちのパソコンをリニューアルしました。
ベンチマークソフトの結果、あまりの速さに驚いてしまいました。
今回のブログは入れ替えたパソコンで書いております。
さて、今年も残すところ4日を切ってしまいました。
皆様、良いお年をお迎えください。