youtubeから官能評価の動画(英語)です。
mmr社はグローバルな市場調査会社です。そこの官能評価部門の様子です。
途中のブース画面から、回答用ソフトはCompusenseみたいですね。
パネルリーディングのイメージを知りたい方にはよいのではないでしょうか。ホワイトボードの前に立っている方がパネルリーダー(PL)でしょう。
youtubeから官能評価の動画(英語)です。
mmr社はグローバルな市場調査会社です。そこの官能評価部門の様子です。
途中のブース画面から、回答用ソフトはCompusenseみたいですね。
パネルリーディングのイメージを知りたい方にはよいのではないでしょうか。ホワイトボードの前に立っている方がパネルリーダー(PL)でしょう。
4/2からJMP10が発売されました。
まだ使っていないので何とも言えませんが、正直なところ今回のバージョンは値上げが目的なのではないかと裏読みしてしまいます。
これまでのバージョンでは20万円を切っていましたが、JMP10の定価は220500円(税込)です。当初はキャンペーンと称して、JMP9と同額で販売しますが、キャンペーン終了後(5/15)からは20万越えになります。また、アップグレード対象もJMP9までとなっており、過去のユーザーを切り捨てた感があります。
過去のバージョンアップの際には、新バージョンを発表後に旧バージョンを購入すると無料でバージョンアップ権が付いていましたが、今回はなし。アップグレードに94500円(税込)かかります。
日本語環境に難ありで、オンラインヘルプは英語です。(※2012年第4四半期(予定)より無料ダウンロードを開始する「JMP 10.0.2メンテナンスアップデート」を適用することで、ドキュメントやヘルプも含めた完全日本語版として、継続して利用可能になります。とのこと)
つまり、英語が苦手な人が新規にJMPを購入するとなると日本語が充実しているJMP9だが、今(新年度の始まったばかりのイマ)買うと、すぐ型落ちとなり、JMP10へのアップグレードには10万弱かかるということです。
どちらにしてもJMP10を使ってみて判断したいと思います。
個人的にはJMP8のプラットフォーム(ユーザーインターフェース)が一番好きですが。
弊社主催のセミナー情報です。
「主成分分析だけ徹底理解 -根本を理解し、意味を読み取る-」を2012/3/16(金)に開催致します。
講師は本ブログの最初の著者の平沼孝太氏です。
多変量解析ソフトに100%入っているのが主成分分析です。マーケティングから、最近ではガスクロマトグラフィーなどの測定機器データ、におい解析・たんぱく質解析でも使われている手法です。
セミナーでは、計算やソフトウェアは使わずに、主成分分析の根本的な機能を定性的な主成分分析を通じて理解し、アウトプットの読み方を習得します。本セミナーの目的は、主成分分析の出力結果の意味を理解し、人に説明できるようになることです。
◇セミナー名: 「主成分分析だけ徹底理解 -根本を理解し、意味を読み取る-」
◇主 催: テイストテクノロジー有限会社
◇開催日時: 2012年3月16日(金) 10:00~16:30(昼休み:1時間) 募集終了
◇会 場: 東京
◇募集人数: 20名
◇参加費用: 1名様72000円
◇講師略歴:
平沼孝太
アルファモスジャパン㈱ センサリースペシャリスト
早稲田大学マーケティング研究所 研究員
調査会社 元取締役
テイストテクノロジー社 元代表取締役
◇お申込みフォーム:こちら
◇プログラム内容:
1:主成分分析の利用事例と課題
2:ワーク:「定性的な主成分分析※」を通じて根本を理解する
※計算機を使わず、イメージを使って主成分分析をします。
考え方を理解するためのワークです。
(昼休み)
3:統計ソフトの出力の意味を理解する
4:ワーク:出力結果から意味を読み取る
5:原則と例外:例外の扱い方(実務で起こる例外を紹介します)
6:統計ソフトのオプションの説明
7:関連手法(因子分析、主成分回帰分析、SIMCAなど)
8:質疑応答(事前に受け付けます)
主成分分析をもう一度やり直すチャンスです!
ふと思いつきで更新してます。ご容赦ください。
さて、とある方からexcelの標準偏差を計算する関数について質問を受けました。
よく頂く質問は、母集団(nで割る)と標本(n-1で割る)の使い分けです。
※上記の答え
母集団(nで割る):STDEVP関数
標本(n-1で割る):STDEV関数
しかし、今回はSTDEV関数とSTDEVA関数の違いでした。
詳しく調べたことがなかったので、HELPを見たところ、数式は全く同じでした。引数の解説を見るとSTDEVは数値のみ、STDEVAは数値のほかに文字列や論理式も指定できるとありました。更にネットでも探したところ下記説明がありました。
つまり、STDEVA関数は数値以外の文字列・論理式も計算に含めるということです。(「A」がつく関数は、Lotus 1-2-3 の関数と互換性を持つように設計された新しい関数セットで、EXCEL97以降に採用になったとのこと)
回答の誤記や入力チェックのことを考えると、官能評価では数値の標準偏差を出すのが一般的ですから(というか文字列で計算する状況が想定し難い・・・)、チェック機能として考えてもSTDEV(標本)/STDEVP(母集団)などのAのつかない関数をお勧めします。
セミナー情報です。
「官能評価と機器分析(GCまたはMS)のデータ解析」が12/3に開催されます。
講師は本ブログの最初の著者で、また現アルファモスジャパン センサリープロフェッショナルの平沼孝太氏です。
近年ガスクロメーカーもにおい分析を前面に押し出し、ソフトウェアに多変量解析ツールを標準搭載するようになってきました。アジレント社サイトのアプリケーションノートでも主成分分析という言葉が見られます。
ケモメトリクス・GCソフトウェアにほぼ標準搭載されている主成分分析ですが、これがクセものです。見栄えはわかりやすそうなのですが、いざ説明するとなると非常に難しい。また、ソフトから出力される値の読み方もよくわからない(固有値って?)。
WEBで主成分分析を勉強しようとイロイロ探してみました。個人的に分かりやすいサイトだったのは「タコでもわかる主成分分析」ですが、驚くべきことに、このサイトを読んでも分かりませんでした。タコ以下であることが証明されたわけですが…。(このタイトルは心臓に悪いです)
平沼氏のセミナーは、何といってもアウトプットの読み方をきちんと教えてくれるので、明日からでも使える知識が身につくのがうれしいですね。
レベル的には「タコでもわかる主成分分析」を読んでもわからないことがある人には、お勧めのセミナーです。
◇セミナー名: 官能評価と機器分析(GCまたはMS)のデータ解析
◇主催: アルファ・モス・ジャパン株式会社
◇開催日時: 2010年12月3日(金) 13:00~17:00
◇URL
http://www.alpha-mos.co.jp/event/2010/seminar-20101203.html
時代は多変量! タコ(八)からムカデ(百)に向かっている?
7/14に日本官能評価学会 企業部会の第一回会合が開かれました。
20人ほどの参加者があり、食品・飲料を中心に化粧品・日雑系メーカーなどが参加されていました。
名古屋からも参加があり、皆さん意欲にあふれていました。
会合では、部会の方向性や活動内容、活動テーマなどまっさらなところからのスタートという感じでした。
参加して感じたことは、皆さんがかなりマーケティングの知識に興味があるということでした。一方で、マーケティングサイドと官能評価サイド(開発)の意見の食い違いや視点のギャップがあることも認識されているようです。マーケターとして知識を深めたいというより、コミュニケーション対象者であるマーケターを理解するためにマーケティングの知識を身につけたいといった感じでした。
現在、私自身の業務はマーケティングと官能評価の両方に従事しているので、マーケティングサイドからの視点も官能評価サイドからの視点も理解できます。そこには小さいようですが、実は大きな溝があり、この溝を埋めるのは非常に大変だと感じています。
小さい食品会社やレストランならば、商品開発もマーケティングも同じ人が一貫した視点で携わるので、溝が生まれ難いですし、あったとしても自分の中で解決できます。しかし、大企業ともなるとセクショナリズムと相まって非常に難しい問題となってきます。
解決の糸口としては相互理解が最も重要です。
そのきっかけとして企業部会を通じて何らかの貢献ができればいいなと思っております。
日本官能評価学会に所属してなくても参加できるそうです。
ご興味のある方は下記をご参照ください。また、ご紹介もできますので希望の方はご連絡ください(webmaster@taste-technology.com 件名に「企業部会紹介希望」)。
文責 平沼
2009年4月1日にアルファ・モス・ジャパンが営業開始いたしました(日刊工業新聞)。
アルファ・モス社は、におい・味センサーなどの分野でグローバルマーケットリーダーとして多くの顧客を有し、論文も多く発表しています。2008年にはフランスのクロマトグラフィーメーカー(Perichrom)を傘下に収め、商品の幅を広げています。
日本ではプライムテック株式会社が販売代理店として販売を展開してましたが、今回の日本支社発足により本社の指揮の下で日本市場を取りに行くという戦略が見えてきます。そもそもアルファモスが直接の会社を置いているのは米国と中国の2カ国だけでしたが、今回の日本進出で3カ国となりました。力の入れ具合が否応なく高まるでしょう。
アルファモス社はジャン・クリストフ ミフスド(Jean-Christophe Mifsud)が1993年に創業した会社です。ミフスド氏は面白い経歴の持ち主で、アルファモスHPによれば米国企業でのM&A経歴とチバガイギーでのマーケティングマネジャーという経歴を持ち、ニューロケミストリーでPh.Dを取得してます。周りを固める取締役も優秀な方が多く在籍しているようです。
ちなみに本社はEuronext Parisに株式上場しています。残念ながら日本支社の営業開始はあまり大きな材料にはなっていないようですが・・・。
アルファ・モス・ジャパンの企業情報には日本語のビジョンが掲載されています。
●私たちは、官能分析における圧倒的なマーケットリーダーとして、包括的な提案力と高品質な技術力に基づき、多くのお客様の商品開発の成功、品質管理の効率化を支援します。
●私たちは、機器分析におけるユニークなソリューションプロバイダーとして、柔軟性と独創性を新たに提供し、多くのお客様の分析技術の迅速化、簡易化、高感度化を支援します。
一方、アルファモス本社のmissionです。
The mission of Alpha MOS is to:
* deliver instrumental measurements of the smell, taste or chemical fingerprint of products
* provide decision tools for R&D, Quality Control, Marketing, Regulatory Affairs and Quality Assurance departments
両者を見比べてみると、ジャパンの方がより包括的なサービスを提供する姿勢が見えてきます。単なる測定機器やツールの提供者ではなく、ソリューションを提供するということでしょう。また、単なる本社の御用聞き子会社ではなく、独自の価値観と意志決定をもった独自の会社としてさまざまな展開が期待できます。
プライムテックでアルファモス製品を主に担当されていた吉田 浩一氏がゼネラルマネジャーとしてアルファ・モス・ジャパンに参画しているということですので、サービス面では安心できそうです。
設立第一弾として、ifiaで設立記念セミナー(無料)の開催が決まっています。
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アルファ・モス・ジャパン オープニング記念セミナー開催!
5/22(金)13:00~17:00
五感センシングの今と未来
~電子嗅覚・味覚システムのリーディングカンパニー 「Alpha M.O.S.」の日本市場における新展開~
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詳細はこちら
ぜひ、私も行きたいですね。
春の新しい出来事でした。
文責 平沼
バレンタインデーはおいしいチョコを食べましたか?
市場に出回るチョコレートが多様化し、消費者(というか私に)に選択肢が増えたことは嬉しいですね。
さて、そんなバレンタインデーの翌日ですが、何の日かご存知でしょうか?
「宣伝会議」2/15号の発売日でした。
なぜ突然そんな話題が出るのか。
話は昨年末のことです。
弊社代表の平沼が私にこういいました。
「官能評価での統計手法なんて難しいのはいらんよ。それよりもパネルだ。
パネルが悪けりゃどんな統計手法もゴミだね」と。
最近の平沼はアンケートの集計とパーセンテージぐらいしか計算してませ
んでしたし、私もちょっと虫の居所が悪く、つい
「都合のいい言い方ですね」
と言ってしまいました。言った後で、しまったと思ったのですが、平沼の
ほうを見るとニヤニヤしています。
「ぶ、不気味だ」
ここからはライブで。
平沼「平均以外も知ってるよ」
私 「当たり前じゃないですか!」
平沼「多変量解析はできないとでも?」
私 「そういう意味では。ただ、最近そういう(高度そうな)分析をしているのを見ないですよね。」
平沼「必要ないからだよ」
私 「なんとでも言えますよね」
平沼「・・・。ところで8月に娘が生まれたのを覚えてる?」
私 「もちろん。それが?」
平沼「誕生記念になんかやろうと思ってさ。ネットを見てたら宣伝会議と野村総研が
『マーケティング分析コンテスト』というのを開催するのを見つけたんだ。でね、応募した。」
私 「はぁ・・・」
平沼「仕事じゃ使わない斬新な分析をしてみたよ。2月中旬に発表だから。」
そういって平沼は出て行きました。
その後、前年の受賞レポートを読んでみたのですが、訳がわからない分析ばっかりでした(涙
http://www.sendenkaigi.com/mac/index.html
いわゆるデータマイニングとかそういう分野だと思います。
話が長くなってしまいましたが、そのマーケティング分析コンテストの結果が「宣伝会議」
2/15号に載っているというのです。正直、偉そうなことを言って載っていなかったらチクッと
言ってやろうと思ったのですが、一方で、載ってなければそれはそれで寂しいなぁ、と。
おそるおそるジュンク堂へ行き、宣伝会議2/15号を見つけて手に取りました。
表紙にはそれらしい項目がありません。
「次号なのかな」
目次を開いてみました。
「おー、あったあった。054 独自の視点で購買要因を分析『マーケティング分析コンテスト2008』詳報。これだ」
おっかなびっくりで、54ページを開いてみるとそれらしいのがあるじゃないですか。見開きで特別レポート。
左側のページに受賞作品の一覧が・・・
最優秀は、東洋大学と東大院の方(1点)
優秀賞は、関西学院専門職大学院の方(1点)
奨励賞は、平沼孝太、福岡大の方(2点)
おー、なんかもらっている!
なになに、審査員コメントは、
「『買う人、買わない人』という着眼点が面白い。商品カテゴリによって結果に差が出ることを、ひとつのインプリケーションとして示している。」(横浜国大 阿部教授)
「シングルソースの使い方、態度変容を見る着眼点が非常に新鮮。検証・調査には有用性がある分析だと思う」(野村総研 塩崎氏)
(以上、『宣伝会議』2/15号より引用)
だと。
うむむ、どうやら平沼のいう「斬新な分析」とやらは一応の評価を得てるらしいぞ。
悔しいが、平沼にはチョコレートを倍にせねばなるまい(今年は週明け配給なので)。
それにしても大学関係者ばかりの受賞者の中によく紛れ込んだなぁと、ちと尊敬。
そんなバレンタインデー明けでした。
探索的統計解析ソフトウェアのJMP8が発売になるそうです。
12月19日(金)までは期間限定・早期購入キャンペーン実施中だそうで。
ほしい人にはチャンスですね。
【早期購入キャンペーン】
http://www.jmp.com/japan/landing/jmp8_preorder.shtml JMP7のときは正直バージョンアップの必要性を感じませんでしたが、JMP8は違うようです。
官能評価関係で一番興味を引いたのは「TukeyHSD検定のP値表示」ができるようになった
ことです。
これはホントうれしいですね。
官能評価で多いのは5,9点の評点法やラインスケールです。検定では標準品があれば Dunnettで、なければTukeyが一般的です。 (t検定、Duncunは注意が必要です。詳細は永田先生の書籍が詳しいです。)
最近はほとんどのソフトウェアが検定結果を星(*)の数ではなく、P値を表示することが 主流です。また、ユーザーもどの程度の確率なのか数値で見たいという要望も多くあります。 JMPでどうしても気になっていた機能がまさに「TukeyHSD検定のP値表示」です。
他にも開発・品質管理関係の機能が充実しています。グラフィック機能も充実してきました。
一つ注文をつけるなら、やはりOffice製品とのデータのやり取りがシームレスにできるよう になれば素敵ですね。(出力後のレイアウトに問題が・・・)
SASとの互換性を向上させたようですが、SASを使っているところでJMPを使うのかなぁと、 ちと疑問です。
SPSSを使っていた時もエクセルとの親和性が低く、分析作業の主流がエクセルアドイン系ソフト に移ったことがあります。 独自路線を突き進むのもいいですが、協調も必要ですよねSASさん♪
【JMP8の詳細機能紹介】
http://www.jmp.com/japan/software/jmp8/pdf/jmp8intro_full.pdf
まずは試してみたい方はこちらをお勧め(体験版付き)!
◆◇◆◇◆◇◆官能評価TT通信No.35◆◇◆◇◆◇◆
さて、今回のテーマは「プリファレンスマッピング」です。
官能評価においてもデータとデータを結合することは結構あります。
前回の評価事例-後編でご紹介した「他社データと自社データの結合」も1つの方法です。
今回は官能データと嗜好データとの結合、いわゆる「プリファレンスマッピング」のお話です。
弊社で扱う「データ結合」案件で最も多いのが官能データと嗜好データ(マーケティングデータ)の結合で、次が官能データと機器データになります。やはり各企業が市場の声に耳を傾けているという姿勢のあらわれでしょうか。
さて、プリファレンスマッピングです。
プリファレンスマッピングといえばGreenhoff & Macfieの「Preference mapping」に起源をもちますが、現在では様々なバリエーションが発表されています。
Greenhoff K. & Macfie H. J. H. (1994). Preference mapping in practice. In Measurement of food preferences, ed. H. J. H. MacFie and D. M. H. Thomson.Blackie academic & professional. London.
プリファレンスマッピングには大きく分けて2つの種類があります。
(1)内的プリファレンスマッピング(Internal Preference Mapping ; IPM)
(2)外的プリファレンスマッピング(External Preference Mapping ; EPM)
IPMは、嗜好データの主成分分析です。データの形としては、消費者とプロダクトの2元表に消費者が回答した嗜好評価の値を入れたものになります。消費者をグループ分けすることもあります。表現方法は、主成分分析の結果をバイプロットします。
※バイプロット:主成分得点とベクトルを同一グラフに表示。Gabrielバイプロットとも呼ばれます。
EPMは、官能データと別にとられた(外部の)嗜好データを個別に分析し、結合する方法です。使用する分析手法には、マッピングのために主 成分分析や一般化プロクラステス分析(Generalized Procrustes Analysis : GPA)などを用います。嗜好データの分類に自己組織マップやk-means、階層型などのクラスター分析を用いることがあります。表現方法は、やはりこ ちらも基本はバイプロットになります。
一般的にプリファレンスマッピングとはEPMを意味しますので、本稿でもEPMについて進めていきます。
皆さんがEPMを検討するのは、おそらく次の3つが主要な目的の場合でしょう。
(1)官能属性と嗜好度を関連付ける
(2)消費者グループ別に嗜好の違いを表現すること
(3)視覚的に表現する
個別にみてみると大した事はしておりません。
(1)の官能属性と嗜好度を関連付けるだけなら、回帰分析やその他の手法でも可能です。
(2)の消費者グループ別に嗜好の違いを表現するだけなら、クラスター分析でグルーピングし、嗜好順序で表現することも可能です。
では、なぜEPMなのか。
それはEPMが視覚的に表現するのが得意だからです。
EPMの基本的な分析フローを見てみましょう
ステップ1 官能データから商品マップを作成する(主成分分析)
ステップ2 嗜好データから消費者をグルーピングする(クラスター分析)
ステップ3 ステップ1の「主成分得点」とステップ2の「グループ分けされた消費者の嗜好データ」を結合
ステップ4 嗜好データを目的変数とした回帰分析など(PLS回帰分析、ANN)
ステップ5 バイプロットに表示する
見たところ簡単そうですが、プリファレンスマッピングは日本の企業ではあまり使われていない手法の1つです。
おそらくステップ4の分析が面倒なためではないかと考えてます。ソフトウェアがあれば簡単なのでしょうが、先日試用版で試したプリファレンスマッ ピングが分析メニューに入っている統計解析ソフトでも手間取ってしまいました。(Rの官能評価パッケージ「SensoMineR」にあるcarto関数で さくっと分析できますが、Rに慣れていないと手間取ります)
現時点で私の意見は「プリファレンスマッピング(EPM)をやりたければ機能付のソフトウェアを使うのが早い」ということです。
時間と知識があれば、エクセルやR、その他の統計ソフトでも分析することは可能ですが、試行錯誤の時間と得られる情報量を考えればプリファレンスマッピングにこだわる必要はないでしょう。
そこで今回は主成分分析とクラスター分析ができる統計ソフトとエクセルがあれば誰でもできる「選好等高線図(Preference Contour Mapping)」をご紹介しましょう。ステップ4を行わずに3つの目的を果たしています。
使用したデータは、フリーウェア統計ソフトRの官能評価パッケージ「SensoMineR」 に含まれるチョコレート6種のサンプルデータ(sensochoc:官能データ、hedochoc:嗜好データ )を使用しました。分析に使用したソフトはJMPです。主成分分析とクラスター分析ができればソフトは何でもかまいません。今回はJMPでグラフ作成まで やりましたが、使用ソフトのグラフ作成機能がわかり難いなら、作図はエクセルでも大丈夫です。
「選好等高線図(Preference Contour Mapping)」の分析フローは4つのステップからなります
ステップ1 官能データから商品マップを作成する(主成分分析)
ステップ2 嗜好データから消費者をグルーピングする(クラスター分析)
ステップ3 ステップ1の「主成分得点」とステップ2の「グループ分けされた消費者の嗜好データ」を結合
ステップ4 等高線図に表示する(主成分1、主成分2、嗜好データ)
7つに分類された消費者クラスターごとの結果を見てみましょう。商品名は消費者Cluster1のみに表示してありますが、他も同様の配置となっています。
色は嗜好度を表しています。嫌い(Disliking)なほど赤くなります。尚、本結果自体に意味があるのではなく、読み方の参考としてご覧下さい。
見方ですが、まず最初のグラフ(Cluster1)を見てみましょう。
各商品が2次元上に配置されています。軸の意味を知りたい場合はステップ1で得られた主成分分析の結果から読み取ります。
そして、商品で囲まれたエリアには商品ごとの嗜好度について等高線が引かれています。このグラフでは等高線の間を色分けしてあります。
色合いが同じところでは、同程度の嗜好度であると考えられます。
どうやらCluster1の消費者は、choc2,5を嫌いchoc1および3の方へ行くと嗜好が高まる傾向があるようです。
傾向を知りたい場合、等高線に基づいてベクトル線を描き、原点に移動して表示すると便利です(このベクトルは、EPMのバイプロットにおけるベクトルと同様の意味になります)。
全部は説明できないので、特徴のあるCluster3とCluster6について見てみましょう。
Cluster3はchoc1,4をとても嫌っています。等高線から読み取ると、ちょうどX軸(主成分1)に平行なベクトルが描けます。
このことからCluster3をターゲットとするなら主成分1の得点が高い風味属性のチョコレートが好まれそうです。
Cluster6はchoc3を嫌いな頂点として、きれいに等高線が引かれています。
等高線から、choc3からchoc2,5,6へベクトル線が引けます。どうやらCluster6の嗜好度を高めるには、主成分1と2の両方の得点が低い風味属性のチョコレートを開発するのがよさそうです。
このように主成分分析とクラスター分析、そして等高線図で消費者別の嗜好傾向が視覚的にもわかりやすく表現することができました。
最後に注意なのですが、クラスター分析の結果から得られた消費者集団がどのような特性であるかは明らかにはなっておりません。
そこで2つの方法が考えられます。
1.グルーピング後に消費者の属性(デモグラフィック属性など)を分析する。
2.最初から消費者属性によってグルーピングする。
1の場合、グループを特徴付ける結果が得られればマップが役立ちますが、特徴がなければただ分類されただけになります。
お薦めは最初から消費者属性(例えば、性別や年齢層など)でグルーピングすることです。
今回は官能データと嗜好データを結合するプリファレンスマッピングの概要と、簡易版としての「選好等高線図(Preference Contour Mapping)」をご紹介しました。
現実には、売れる商品を開発するために「美味しい」を目的変数にした分析では足りません。さらに「購買意欲・行動」まで踏み込んだ分析へと移行する必要があります。
これが「”おいしい”を”売れる”へ」をモットーに、弊社が推し進めている「売るための官能評価」です。
それでは、また!